水本憲治総合生存学館(思修館)/白眉センター特定助教らの研究グループは、2020年1月-2月の、中国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による患者数と死亡者数のデータを用い、新型コロナウイルス感染症罹患時の死亡リスク推定を行いました。死亡リスク推定にあたっては、被害規模の観点から、中国を、3地域、(1) 武漢市、(2)湖北省(武漢市を除く), (3)中国全体(湖北省を除く)、の3地域に区分し、報告から死亡までの時間遅れを調整しました。
時間遅れ調整後の死亡リスク(*)は、武漢市においては12%に達する一方で、他の地域では概ね1%程度と推定されました。この高い死亡割合の原因としては、医療システムの崩壊等が考えられ、手洗い等の個人的な実践の他、社会的隔離や移動制限の重要性が示唆されました。
 
(*) ここでの死亡リスクは、「死亡/報告患者」であり、英語ではCase fatality ratio(CRF)といわれます。未報告の有症状の患者や、無症状の感染者等は含まれていないために、注意が必要です。なお、「死亡/感染者」は、Infection fatality ratio(IFR)と言われます。
 
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/6/20-0233_article#suggestedcitation
査読有り
Mizumoto K, Chowell G.: Estimating Risk for Death from 2019 Novel Coronavirus Disease, China, January–February 2020. Emerg Infect Dis. 2020. Jun https://doi.org/10.3201/eid2606.200233
 
業績など
http://square.umin.ac.jp/kj/kmizumoto_jp.htm